withコロナ時代の演奏会
みなさん、元気にお過ごしでしょうか?
2020年5月に、日本全体で緊急事態宣言が解除され、東京ロードマップも6月19日から全面解除されました。
2020年3月から、4か月の間、全く演奏会がなく不安でしたが、7月からは少しずつ演奏会が再開されそうです。
コロナウイルスは、陽性判明者数の5%程度、死に至ることがある感染症なので、感染予防対策は欠かせません。
世界中のデータを見ると、45歳くらいまでの人の死亡率はかなり低いですが、コンサートには幅広い年代の方がいらっしゃいます。
これからの演奏会は、どのように感染症対策をしていけば良いのでしょうか?
あくまで私が個人的に考える、感染症対策ですので、演奏会によっては全く対応が異なると思います。
ちなみに読売日本交響楽団というオーケストラの感染症対策はこんな感じです。
コンサート終了後に、出口での密集を避けるための整列退場をお願いしており、皆さまのお時間を奪ってしまって申し訳ないなあと思っております。
しばらくは色々と感染対策を徹底しなければならないので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
感染症対策をして演奏会
そもそも、演奏会でのコロナウイルスへの感染する可能性が何か、考えなければなりません。
コロナ感染症に対しての恐怖度は、人それぞれですが、
「演奏会でコロナ感染症が出た」
「あの演奏会でクラスター発生した」
という演奏会でのクラスター発生が、なるべく起きないように努力しなければなりません。
コロナウイルスは風邪ウイルスの一種とはいえ、一部の人にとっては死の病であるため、感染予防をやり過ぎるということは、ないのではと思います。
4か月も演奏会ゼロの状態が続いている、超異常事態ですから。
コロナで最も気を付けなければならないのは、
・接触感染
・飛沫感染
この2つに気を付ける必要があります。
接触感染
接触感染とは、ウイルスを手で触って、鼻や口、目にウイルスをくっつけた場合に感染することを言います。
ウイルスは、かなりしぶとく生き残るので、手のアルコール消毒が欠かせません。
アルコールがダメな人は、手を洗っていただく、という形になります。
ちなみに、アルコール消毒よりは、手洗いの方が、ウイルス除去効果が高いそうです。
手でウイルスに接触するのは、入口でチケットを買う時であったり、コンサートホールの座席であったり、トイレに行く時だったりすると思います。
ドアも可能なら、手を使わずに足で開けれるようにするとか、または自動で開けれるか、という仕組みを作る必要があるのかなと思います。
紙のチケットにもウイルスが付着して、接触感染リスクがあるため、デジタルチケット、スマホのチケットが主流になっていくのかなと思います。
私が3年前にコンサートをした時は、スマホでチケット確認をしていました。
お金をかけられるホールは、スマホのバーコードなどを読み込ませて、ゲートをあけるという、改札のような仕組みになるのかなと思います。
飛沫感染
飛沫感染は、会話と咳、この二点が原因の感染です。
フルートやラッパなどの、フーフー吹く管楽器は、多少の飛沫を飛ばす可能性があり、歌も少し飛沫のリスクがあります。
ですから、お客さんと歌手、お客さんと管楽器奏者の人は、距離を取らなければなりません。
基本的に、演奏家より、お金を払って来て下さるお客様を優先に守るべきだと思います。
演奏家を感染から守ることも、お客様を守ることにつながるので、結局はどちらも感染から守る対策が必要です。
最低でもソーシャルディスタンス距離付近の1.5メートル〜2メートルを下回らない距離を、演奏家同士で開ける必要があるでしょう。
日本のオーケストラでも飛沫実験をしています
東京都交響楽団で行われた飛沫実験調査では、
「弦楽器も管楽器も、あまり飛沫が飛ばない」
という結果が出たようです。
加湿器を付けて、トロンボーンを吹く実験(都響の実験ではありません)では、ほぼ全くと言っていいほど加湿器の湯気が動かず、飛沫を飛ばさないことが分かっています。
ホルンやトランペットには、楽器の中に水が溜まるのですが、アルコール消毒液の入ったバケツに、水抜きをすることで感染症対策をします。
飛沫実験では、演奏よりも、リハーサル後の雑談の方が、はるかに飛沫が飛んでいる、という結果になりました(笑)
演奏の飛沫よりも、ホールで黙っている、演奏家同士も私語を慎む、という私語を控えることが大切だという結果になってしまいました。
【楽器の演奏は良いけど、なるべくしゃべるな】
という結論になりました。
もし、コンサートが好きな方でしたら、今年はホールでなるべくお話をされないようにしていただければ幸いです。
少しでも世論が、
「コンサートを自粛するべきだ!!」
に傾くと、私たち演奏家はカンタンに演奏会の自粛に追い込まれてしまいます。
楽しくお客様同士で会話していただきたいのが本心なのですが、2020年の間は、コンサートホール内で、可能な限り私語を我慢していただけると幸いです。
もし演奏会の中で、クラスター感染が広まったとなれば、私たち演奏家の仕事がなくなってしまいますので、私語我慢へのご理解いただけると幸いです・・・。
演奏会存続のため、色々とご協力をお願い出来れば、本当に幸いです。
体調が悪い方は演奏会に入れなくなると思います・・・
演奏家も、もちろんですが、お客さんも、体調の悪い人を完全にシャットアウトする必要があります。
喘息や肺に不調を持っているだけの人もいるので、体調の悪い人全員をシャットアウトするのは、倫理的に問題があるかとは思いますが・・。
体調が悪いのが、コロナウイルス感染症なのか、ただの軽い風邪なのか、インフルエンザなのか、その他なのかは分かりませんが、
体調の悪い人は、入口でお帰りいただく必要があります。
チケット返金も、なるべく柔軟に対応することが求められるでしょう。
「返金されないなら、体調が悪くても行こう」
という人がほとんどだと思いますので。
わざわざコンサートホールに行って、ちょっと体温が高いから追い返される、というのに納得できない人もいるでしょうが、
日本中でここまで長期間自粛しているため、コンサートでの感染を防がないと、本当に演奏会の仕事がなくなってヤバイんです。。
もしあなたがお客さんだったら、隣の人や後ろの人が体調悪そうに咳をしていたら、イヤ〜な気分になっちゃうんじゃないですか?
演奏家も、お客さんに気持ち良く演奏を聴いていただくため、体調の悪いお客様をシャットアウトせざるを得ないのです。
「どこどこの演奏会で、こんなに咳をしている人がいっぱいいた」
とtwitterなどのSNSで書かれてしまえば、また演奏会やイベントが自粛ムードに追い込まれてしまってもおかしくありません。
体温を赤外線で測ったりすることも出来るので、体温が37.5度以上の人は、入場お断りということになると思います。
実際は、そこまで厳しく入場制限をするのかは、分かりませんが、体調が悪い場合は、コンサート主催者に相談していただければと思います。
毎年冬場はインフルエンザや風邪が流行るので、入口でたくさんお帰りいただく事になってしまう可能性があります・・・。
普通の風邪なのか、コロナウイルスなのかは、見た目で判別するのは不可能なので、体調が悪い場合は入場をお控えいただくことをお願いすることになると思います。
マスク着用をお願いするかもしれません
無症状の人でも、ウイルスを感染させる可能性があるため、お客様全員にマスクを着用をお願いすることになると思います。
マスクについて、
「ウイルスよりマスクの網目の方が大きいから意味がないんじゃないか」
「熱中症になったらどうしてくれるんだ」
と、思うところがある方もいらっしゃると思いますが、今の時点でできる感染症対策はマスクなので、マスク着用のご協力をお願いします。
夏になり、熱中症のリスクが高くなる場合は、どうなるかは分かりませんが・・・。
マスク着用中は、こまめに水分補給をしていただくよう、重ねてお願い申し上げます。
今のところは、演奏家から客席まで飛沫が飛ぶ危険性は、飛沫実験によりほぼ確実にないことが分かっているため、演奏家はマスクをしないで演奏をする可能性があります。
ですから、演奏家がマスクをしないことによるお客様への感染リスクはほぼなく、どちらかといえば演奏者同士での感染リスクがあるということですので、お客様はご安心していただければと思います。
中国で、中学生がマスクをしながら体育の授業を受けたら、死んでしまった事件がありました。
演奏家や指揮者は、かなり激しく動くため、マスクをしていると、酸素不足や熱中症などの感染症じゃない別の死のリスクがあるため、マスクを着用しないで演奏をするかもしれません。
管楽器の人は、マスクをしながら演奏できないという問題もあります。
感染症専門家を招いて行われた、科学的な実験に基づいての対策ですので、
「なんで客だけマスクして、演奏者はマスクしないんだ!!」
と怒らないでいただければと思います。
喘息の持病を持っている人は、マスク着用をお願いします。。
喘息の人と、そうでないお客様とで、トラブルも起きるかもしれないのが、怖いなあと思います。
ただの喘息でも、無症状の人の可能性が考えられるわけですから・・・。
私も、咳をした時に、他の人に恐怖を与えるのが嫌なので、常に喘息の薬を持ち歩くようにしています。
演奏家側が感染すると演奏会中止もありえる
出演する演奏家が、コロナに感染する可能性もあります。
たとえコロナウイルス感染でなくとも、37.5度の熱が出たりすると、コンサートの出演が出来なくなると思うので、コンサートが急遽中止されたり、プログラムが変更されたりする可能性もあります。
オーケストラでは、管楽器は2人ずついて、それぞれ違うメロディーを吹きます。
1人欠けると、メロディーに穴が開きます。
だから、急にオーケストラ曲が、弦楽合奏の曲に変わることも、あり得ます。
演奏会に来て下さる方には大変申し訳ないのですが、オーケストラ側の人間も、感染リスクにはかなり敏感になっているため、感染リスクがあるのなら演奏会を中止にすることもあり得ます。
演奏会開始直前に、体調が悪くなる人が出たりしたら、本当にどうしよう、といつも思います。
換気について
換気の良いところでは、コロナウイルスが死にやすくなるそうです。
空気に流されて、床にポトンと落ちれば、コロナウイルスは不活化して死ぬとか。
靴底から感染するリスクが指摘されているので、全部のウイルスが死ぬわけではないんでしょうけどね。
ホールのドアは、開けっ放しで、演奏会をする可能性があります。
多少、ホールの外の音が入ってくるかもしれませんが、withコロナ時代だからしょうがないな、と割り切っていただけると幸いです。
演奏会の時間を短くする
とりあえず最初の頃は、演奏会の時間自体を、短くする必要があるでしょう。
「短くする意味があるのか」
と聞かれると、返答に困るんですけど、時間が短くなることで、万が一クラスターが起こっても被害が小さくなる可能性がある、短時間の演奏会から再開していくことになると思います。
通常では2時間のコンサートが普通でしたが、まずは1時間程度の休憩時間のない演奏会から再開していく形になります。
少しずつ再開して、
「演奏会では特にクラスターも起きてなさそうだな」
となった時に、ようやくお客さんが戻ってくると思うので、それまでは慎重に小規模での演奏会を開催することになります。
お客さんの数も、ソーシャルディスタンスを確保するために、最初は少なめからのスタートになります。
2020年6月5日のウィーンフィルのコンサートでも、お客さんはかなり少ない状態でした。
慎重に演奏会をやっていくので、お客様も、感染症予防対策をした上で、お越しいただければ幸いです。
体調が悪い場合は、来てもらってもコンサートホールに入れないと思うので、主催者に連絡していただければと思います。
バイオリン上達.comの教材
久保木隆文の奇跡のバイオリンレッスン
楽器演奏は楽しいものです。しかし、楽器演奏が原因で、体を壊してしまう人も中にはいるそうです・・・。あるフランスの調査では、プロ演奏家の70%は体に不調を抱えながら演奏しているのだとか。意外だと思いませんか?楽器演奏は、体に負担がかかる、肉体労働の側面を持ち合わせているといえるかもしれません。
バイオリンは、指を使う楽器です。バイオリンの弦の張力は、一本あたり5kgほどあり、押さえる左手には負担がかかります。バイオリンで左手の指が痛い!という人は、割とよくいますね。逆に、右手の腱鞘炎というのは、今のところ聞いたことがないです。バイオリンは左手に腱鞘炎が起こる楽器
バイオリンを弾く人は、ほぼ100%肩がこります。肩こりの自覚がある、ない、に関わらず、子供でも大人でも肩はガチガチです。バイオリンを左肩と首の間に挟んで弾く、というのが原因の一つです。バイオリンを弾く限り、肩こりからは逃げられないと思ってください。
バイオリン弾きと首の痛みはかなり密接に関係しています。バイオリンを弾くときに、首にバイオリンを挟み、かつ頭を左に傾けます。頭をずっと左に傾けた状態が、首の健康に良いと思います?良いわけないよねー!首が変形しそうだよね!!
バイオリンと腰痛について。腰痛については、座ってバイオリンを弾くと、腰痛になりやすくなります。立って弾いている場合は、腰痛にはなりにくいように思います。オーケストラなどで、座って弾くようになってから、腰というか、あばらの横あたりが痛くなるようになりました。
バイオリンを弾いていると、顎関節症も割と起こりやすい病気の一つです。顎関節とは、下の顎の付け根の関節です。耳の穴のすぐ前に、顎関節があります。顎関節がおかしくなると、口が開きづらくなります。私自身は、顎関節症と診断されたことはないですが、左側の顎が若干開きづらいです。左側の顎関節が「カクッ」という音がします(笑)
突発性難聴は、とても怖い病気です。突発性難聴は早期治療をしないと聴力を失うバイオリンをやっている、音楽家にとって、耳は命です。耳が聞こえなくなったら、音楽家は終わりです。作曲家でもない限り、失業です。しかし、難聴は突然やってくる!突然襲ってくる難聴としては・突発性難聴・メニエール病・急性低音障害型感音難聴があります。どれも、ある日突然聞こえなくなる病気なので、対処のしようがありません。しかし、治療...
バイオリニストを目指す子供にとって、突き指は練習の敵です。バイオリン以外の弦楽器、ピアノ、等も、突き指すると非常に困る楽器です。突き指の危険がある球技としては、バスケットボール・バレーボール・サッカーのキーパー・野球など。特にバスケットボールとバレーボールは突き指が起こり得る球技です。バイオリニストの卵は、突き指はしたくない。体育の授業は休むべきなのでしょうか?
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2018年3月22日、2年ぶりに、急性低音感音難聴を再発しました!低音難聴は、難聴の程度は低いが、よく再発しやすい、という性質を持つようです。赤ちゃんの泣き声を10分連続で聞き続けた翌日に、右耳の違和感を感じるようになりました。聴力検査をしたところ、250ヘルツ(バイオリンのG線の解放弦付近の音程ですね)の聴力だけ、極端に下がっていました。250ヘルツのところだけ、-40dbです(250ヘルツ付近...
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