2019年12月全日本学生音楽コンクール全国大会

2019年12月全日本学生音楽コンクール全国大会が、今年からネットでライブ配信を開始しました。

 

ライブ配信をすることを知らなくて、高校の部だけ全部見ました。

 

もし小学生・中学生部門を録画されている方で、動画データを私に譲ってくださる方は、お知らせください。

 

 

 

12月1日は、小学生部門・中学生部門がありました。
発表会を開催していたので、
2位になられた松木さんの演奏だけ見たのですが、すごいですね。

 

音質や音楽的な呼吸や、超人的なテクニックなど、素晴らしく、国際コンクールに通用する実力だと思いました。

 

他の方は、予定があり、全くみれなかったです・・。

 

高校の部門は全て見ました。

 

しかし、小学生の部門の全国大会と、高校部門の全国大会も、そこまで大きくレベルに差がないように思いました。

 

決して、高校生部門のレベルが低いということではありません!!

 

傑出した才能の輝きは小学生も中学生も高校生も、聴く人に同じように感動を与える、ということです。

 

わたくしの生徒のお母さまとお話したのですが、
「上手い子は、大きくなっても上手いままなんだなあ・・」
ということが言えると思います。

 

小学生部門で入賞している人が、そのまま中学生でも同じように入賞しているケースが多く、一度ついた差を逆転するのはほとんど無理なのではないかと思えます。

 

私はプロを目指すお子さんだけを、生徒として見ているのですが、現在では新しい生徒様をとることは、ほぼありません。

 

月に1人くらいは依頼がくるのですが、ここ1年ほど全員お断りしています。

 

バイオリニストになるのが過酷で厳しい現実を、身に染みて思い知っているからなのです。

 

超一流のソリストになる夢を見ても、散る確率が99%を遥かに超えているのです。

 

小学生の早い段階で、コンクールで結果を出せる状態にしておかないと、後から挽回するのは大変です。

 

コンクールを受けている人は、音色を極めるか、テクニックを極めるか、をしていかないと、上位の成績をおさめることは出来ません。

 

コンクールで上位に入るバイオリニストは、同時に超人的なテクニックを有していることがほぼ100%なので、テクニックは必要なんだと思います。

 

ここでちょっとした落とし穴があります。

私が若いころに勘違いしていた、しくじった考え方の一つに

 

「テクニックさえあれば、他の人より一歩上にいける」

 

という考え方がありました。

 

その考え方に従って、芸大在学中は、とにかくテクニック的に難しい曲ばかりを練習していました。

 

2つ上の先輩で非常に上手な太田さんというバイオリニストがいたのですが、その人が難曲を軽々と弾いていて、非常に憧れておりました。

 

テクニックが上がれば、その分、余裕ができて、音色を考える余裕はできるのですけどね。

 

しかし現実は非情です。

 

多少、テクニックレベルが上がっても、コンクールでは上に進むことはありませんでした。

 

そこで思い知ったのが、

 

・誰よりも美しい音が出れば、それだけでほぼ勝てる(テクニックよりも音のクオリティが重要ある)
・曲の難しさで入賞できるのは、小学校低学年まで

 

ということです。

 

本物の音のクオリティを持ち合わせる人には、永遠に敵わない、ということを思い知りました。

 

最近は考え方を改めまして、

 

「きれいな美しい音を出すためにテクニックを身に着ける」
という考え方になりました。

 

これは非常に大切な考え方だと思っておりまして、テクニックさえあれば何とかなる、というのはだめです。

 

綺麗な音を前提としたテクニックになるように、と考えるということです。

 

高校部門でも、凄まじい難曲を弾いている人も何人かいましたが、チャイコフスキーを弾かれた方が1位になりました。

 

素晴らしいテクニックを見せても、上位にいける時代ではないということですかね・・。

 

チャイコフスキーもテクニック的に難曲ですが、どちらかというと、いかに歌えるか、という曲です。

 

大人になればなるほど、テクニックよりも、音質・音色がものを言うようになると思います。

 

やっぱり音色の美しさは、何よりも大切だということです。

 

ピンカスズッカーマンさんの言葉に
「音が金だ」
という言葉があります。

 

・音がお金になる
・素晴らしい音色に対して、人はお金を払う
・バイオリニストは、音色がすべてだ

 

などという意味が込められていると考えられますが、ズッカーマンさんも凄まじい美音です。

 

バイオリニストは音が命!

 

ということで、皆さんも、バイオリンを弾くときは、音色を意識されてはいかがでしょうか。

 

あんまり学生音楽コンクールの話題に触れておりませんが、

 

「本物には敵わないなあ」

 

ということを久しぶりに思い出させてくれたコンクールでした。

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