プロオーケストラ奏者がダメ指揮者に思うこと



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指揮者について、私が思うこと

わたしは、プロオーケストラで7年ほど働いております。

 

年間に50人近くの指揮者と出会い、仕事をしています。

 

オーケストラ団員が、指揮者に対して思うことを書いていきます。

 

 

指揮者とは、オーケストラを右手と指揮棒、体の動き、顔の表情、でもって、コントロールする職業です。

 

クラシック音楽界の中で、最も花形の職業であり、競争も厳しい、かなり大変な職業です。

 

日本のプロオーケストラの中でも、トップ御三家の一つと言われる読売日本交響楽団の指揮台に立とうという方は、かなり厳選されています。

 

それでも本物の指揮者は少ない!

 

「良い指揮者は本当に少ない!」
といつも感じます。

 

7年前に入った当初は、「良い指揮者が少ない」なんて演奏技術がない年寄り楽員の言い訳だと思っていました(笑)

 

「どうせ自分が楽器をロクに弾けないから、弾けないのを指揮者のせいにしようとしているんだろう」
と思っていたのです。

 

しかしオーケストラ経験を積み、目が肥えてくると、指揮者のレベルもかなり正確に把握できるようになってきました。

意識高い系の指揮者

ほとんどの指揮者は、よく勉強し、オーケストラに対しても適切な指示を出します。

 

しかし年に1〜3人は、意識がズレている、意識高い系の指揮者がくらいきます。

 

意識がズレている指揮者というのは、もれなく指揮もヘタです・・(笑)

 

それは
「指揮者の俺が、オーケストラ団員に音楽を教えてやっている」

 

という勘違いをしてきている指揮者です。

 

勘違い野郎というのは、どこの世界にもいるのですが、自分の音楽の理想ばかり高くて、肝心の指揮のテクニックは全然だめという人がたまに来ます。

 

指揮台に立つ、それがリーダーの仕事なのは、間違いありません。

 

ですが、偉そうな態度をとってよい、ということではないのです・・。

 

 

レベルの低い指揮者ほど、

 

「うーんなんか違うんだよなー。もっときれいな音出ません?」
と自分の指揮テクニックが悪いのを棚に上げて、オーケストラにトンチンカンな指示を出してきます。

 

こうなったら、もう最悪で、どんどんオーケストラの音が悪くなっていきます。

 

「今回は、このようなやり方で音楽を作ってください」
なら良いのですが・・。

 

指揮者とオーケストラ奏者の力関係

指揮者に関して、間違いなく言えるのが、

 

良い指揮者は、オーケストラの音楽的レベルを超えている

 

ということです。

 

 

指揮者の音楽的レベルが低すぎると、オーケストラ団員は指揮者のことをバカにします。

 

口には出しませんが、レベルの低い指揮者がくると、オーケストラの士気が大幅にダウンします。

 

「この人のために頑張りたい!」
と思わせてくれる指揮者でないと、だめですね。

 

 

ウィーンフィルなどは、「指揮者はオーケストラよりも格下」という意識が非常に強いオーケストラで、ウィーンフィルの指揮台にのぼると楽員からのプレッシャーが半端ないようです。

 

ウィーンフィルは伝統のあるオーケストラですから、「自分達のやり方でやる、指揮者は踊ってろ」という意識なんだそうです(半分本当で半分冗談でしょうが)。

 

とは言っても、ウィーンフィルの指揮者は、ウィーンフィルの団員が呼ぶので、仲間になり得る指揮者だけを呼んでいると思います。

 

世界五指に入る指揮者といわれるティーレマンでも、ウィーンフィルの指揮台ではガチガチに緊張しているのだとか・・(笑)

 

 

日本でも、NHK交響楽団を筆頭とした、レベルの高いオーケストラほど、指揮者にとって怖いものです。

 

それはなぜか。

 

やっぱりオーケストラのレベルが高いほど、
良い指揮者をたくさん知っているし、指揮者よりも曲をたくさん知っている、指揮者なんかいなくても良い音楽ができるからです。

 

ほとんどの指揮者よりオーケストラのレベルが高い理由

指揮者よりも、オーケストラ楽員のレベルが高いのには、教育的な背景があります。

 

 

プロオーケストラ奏者ともなると、一人一人が過酷なオーディション(100人中1〜2人)を勝ち抜き、年間100公演以上の演奏会に出演しています。

 

本格的に音楽を勉強している楽器奏者の中から、さらに最精鋭の人間が選び抜かれて選ばれているのです。

 

しかも、オーケストラ経験も何十年も積んでいるので、オーケストラ演奏に対する誇りもあります。

 

全国上位1%レベルの猛者集団と、指揮者は対峙しなくてはならないのです

 

 

僕たちバイオリン奏者は3歳から始めているというのに、指揮者は「高校から指揮始めました」というのは普通ですからね。

 

専門教育を受けている期間があまりに違いすぎていて、その音楽的レベルの差を埋めることはほぼ不可能に近いのです。

 

多くの指揮者は、絶対音感もありませんし、ソルフェージュ能力に長けている人も少数です・・。

 

 

指揮の才能がある人でも、遅く勉強を始めた人がくると、
「この人がもう少し音楽の勉強を早く始めていれば、もっと凄い指揮者になれただろうに・・」

 

と非常にもったいなく思うことがあります。

 

 

 

オーケストラ団員は、本物の音楽にずっと接しながら、楽器をやっている人間です。

 

指揮者もオーケストラ団員も、音楽を学んでいるのは同じです。

 

やっているのが、指揮でなくて、たまたま楽器だったというわけ。

 

 

全国トップレベルのオーケストラ団員が、レベルの低い指揮者に偉そうに指示されると、頭にくるというのは、ご理解できるのではないでしょうか・・・。

 

 

小さいときから音楽に接していた指揮者は良いのです。

 

世界的に活躍できている指揮者は、声楽出身の指揮者(小林研一郎先生とか)、ピアニスト出身の指揮者(スクロヴァチェフスキさんとか)、やっぱり小さい頃から音楽をやっている人が大半ですね。

 

やっぱり小さい頃からの積み重ねが大事なのは、どの世界も同じですね。

 

指揮者を目指す方へ

指揮者は大変な職業です。

 

はたから見れば棒を振っているだけですが、あらゆるソルフェージュ能力が長けていないといけませんし、リーダーとしての資質も必要です。

 

わたしは東京芸大出身ですが、指揮者の同級生は、全くといっていいほど活躍していません。

 

芸大の指揮科の学生が20人いたら、1人活躍していたら良いほうです。

 

運よく一度プロオーケストラの指揮台に立てても、二度と呼ばれない可能性の方が高いのです。

 

政治家に必要なカリスマ性・リーダーシップも必要なので、本当に自分に向いているかどうかをよく検討された方が良いと思います。

 

一念発起して指揮者を目指すのも良いですが、かなり厳しい現実が待っている可能性が高いことをよく知っておいてください。

 

それでも指揮者を目指す方は、本当に頑張ってください。

 

人を動かす心理学なども知っておくと、指揮にも良い影響があると思います(^-^)

 

プロオーケストラ楽員はプライドが高いので、それを利用しておだてながら指揮すると良いかもしれません(笑)

 

 

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